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カリフォルニア州マウンテンビュー在住のソフトウェアエンジニアがいろいろ書きます。

リング、らせん、ループを読んだ

「リング」「らせん」の原作小説、そして「ループ」を続けて読んだ。最も面白かったのがリング。「らせん」は中くらい。「ループ」は駄作だった。

リング、らせん、ループとは

Jホラーで最も愛されたキャラクター、貞子が初めて登場した映画「リング」とその続編「らせん」の原作は同じ作者の小説で、「ループ」だけはこのなかで唯一映像化されていない。パチンコにもなっていない。ちなみにほかに「バースデイ」「エス」「タイド」などがあるが未読のため詳細について書かない。

「ループ」が駄作だった理由

キャラクターに魅力がない。以上。

色々考えた結果、それがぶっちぎりで最大の理由だと確信した。

こまかな理由はいくらでもあげられる。リング世界を実現するために求められる技術力が高度すぎて近未来程度では無理そうだとか、その技術を有効活用する素振りがないとか、その技術によって変革されただろう社会がまったく描かれないとか。だがそれらは些末なことだ。キャラクターの魅力のなさに比べたら。

読了直後にTwitterに書いた感想

ストレンヂア -無皇刃譚- の感想

昨日、ストレンヂア -無皇刃譚-を観た。

2007年公開だから15年前になる。監督は安藤真裕花咲くいろはとかでも監督をやっていた。リアルな部分と外連味が両立する白兵戦アクションが見どころだ。

まったくの偶然なのかもしれないが、ビデオゲームのGhost of Tsushimaとかなり描かれている内容が似ている。あるいは元ネタのひとつなのかもしれない。共通する要素を並べると、まずユーラシア大陸からやってきた呪術を用いる異人たちが侍と戦う。ネームドキャラクターがあっさり死に、それは劇的には描かれない。命を失うことが日常のすぐそばにある、無慈悲な時代。冬の漁村のわびしい情景も似ている。あと大塚明夫が重要人物を演じている。

ストレンヂアにはアニメーションのためのアニメといった趣きがある。それはつまり、言葉で語られるものよりも絵の動きで描写されるものが物語を駆動しているということだ。動く絵として映える活劇にするために作ったとしか考えられない設定がいくつも登場する。たとえば、最終決戦のアクションの足場になるためにデザインされた塔。その足場のある塔で戦う都合をつけるために、仔太郎は捕獲されたあとも生かされ、儀式のために最上階まで連れてこられる。

実のところ、ここまで手が込みすぎだといかにも嘘っぽく見えるので自分はあまり好きでなかった。ストレンヂアはオリジナル企画であり、つまり原作はない。凄腕のアニメーターである監督が自由に設定を決められるせいで、ちょっとアニメに都合がよすぎる作りになってしまったように思う。ストレンヂアで一番の不満はそこだ。

だがそこに目をつぶると、この映画は非常によくできている。

アニメーションのよさでいうと、犬がかわいいうえにリアルだ。そして異常に強く賢い。仔太郎がピンチになると敵の急所を狙って苛烈な攻撃をしかけたりする。そのへんの人間より明らかに頼りになる。そして馬の作画もいい。リアルだし、かわいい。動物の作画は大変と聞くけどもよく動くね……すごいね……という気持ちになる。

というか作画が全体的によすぎる。もしいまオリジナル劇場アニメの企画を通そうとしても、このレベルのスタッフを集めて十分な予算とスケジュールを用意するのは無理だろう。オリジナルの劇場アニメはビジネスとして当てるのが難しい。ストレンヂア自体、おそらく興行収入は少ない。

作画と演出に関してはアニメスタイルに監督のインタビューを読むことをおすすめする。 http://www.style.fm/as/13_special/mini_070927a.shtml

ストーリーと伏線についてはこのWebサイトが非常に詳しい。 http://www.green.dti.ne.jp/microkosmos/anime/stranger.htm

自分が特に興味深く感じたのは、名無しと仔太郎の関係が変化するステップだ。名無しは、当初は仔太郎とは完全に他人同士である。用心棒としての契約が成立したあとも、係累となることを恐れてか距離をおこうとする。だがともに旅を続けるうち、擬似的な主従(かつての名無しが仕えた大渡の城主の子と仔太郎を重ねている)のような関係となる。それは天涯孤独の身上同士で成立した、家族に近いものになる。

それほど大きな事件があるわけでもなく、乗馬を教えたり、身の上話を語るといった出来事を経て、関係が変化していく。二時間に満たない上映時間で駆け足で語られたはずなのに、かなり自然に感じられた。このあたりはストレンヂアがうまいところだと思う。

アニメスタイルの記事でも言及されているように、ドラマとしては名無しが祥庵の袈裟を斬るところが最高潮となる。そこがプロットポイントになり、名無しの生きる目的が変化する。

なおタイトルのストレンヂアは主人公たち三人、つまり名無し、仔太郎、羅狼を指す。言われなくてもわかるだろうが。 https://animeanime.jp/article/2012/04/19/9933.html

名無しも仔太郎も、日本の外から来た人間なのでStrangerだ。山寺宏一演じる羅狼は「所詮は西戎」と言われているあたり、明から来た一団のなかでも異質な存在だとはっきり描かれている。ほかの刺客たちのように麻薬を使わず、仙薬を信じてもいない。

そういえば、山寺宏一が片言の日本語を話すキャラクターを演じているのは呪術廻戦のミゲルと同じやね。偶然だろうけど。

あと呪術廻戦の虎杖悠仁大塚明夫が演じている虎杖将藍(いたどり しょうげん)から名字を取ってきたのでは説がある。芥見下々先生は作画オタクだからストレンヂアをチェックしていないはずがないし。

ストレンヂア -無皇刃譚-は2023年2月4日現在Amazon Prime Videoで配信されています。 https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B076ZTMMWX/ref=atv_dp_share_cu_r

アメリカで大学院修了してニューヨークに引っ越してソフトウェアエンジニアとして働きだしてカリフォルニアに戻ってきてシリコンバレーでAmazonに転職した

 いろいろあっていまはシリコンバレーAmazon.com Services LLC (つまりAWSです)でSDE (Software Development Engineer) として働いている。AWSのAIとデータベースに関するあるサービスを開発中。主にフロントエンドを担当。どこまで書いていいのかわからないのでとりあえずぼかしておく。

 前回の記事からだいぶ時間が経ってしまった。二年半も過ぎると過去の自分が他人のように思えてくる。この時点からの主な出来事を並べるとこうなる。

2019年5月: 南カリフォルニア大学University of Southern California, USC)のコンピュータサイエンス修士課程(MS in Computer Science - Scientists and Entineer)を修了。

2019年6月: ニューヨークシティに引っ越す。

2019年7月: MUA, Inc. に入社。

2019年10月: ニュージャージー州のウェストニューヨークに引っ越す。

2020年1月: 転職活動を開始。

2020年3月: MUA, Inc. を退社。

2020年4月: Amazonに入社。

2020年6月: カリフォルニアに移動。シリコンバレーのパロアルト(Palo Alto)周辺に一時滞在。

2020年7月: マウンテンビュー(Mountain View)に引っ越す。

 で、今にいたる。

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Amazonのオフィス。実はこのオフィスに所属しているわけでもない。見かけたので撮影しただけ。

MUA, Inc. で学んだこと

 MUA, Inc. はニューヨークのマンハッタンにあるWeWorkにオフィスを構えていた会社だ。僕がいたのはかなり小さなチームで、ソフトウェアエンジニアは片手で足りるほどしかいなかった。バグフィックスも新機能開発も、Eメール配信の設定も自分たちでやっていた。やるべきことはつねに山のようにあった。

 MUA, Inc. には Kaz (@jugyo )さんがいた。僕が入社したきっかけは、そもそもKazさんにTwitter DMを送ったことだった。

 ここで僕は多くのことを学んだ。

 たとえば、できるだけ効率よくソフトウェアエンジニアとしてビジネスに影響を与える方法。変化し続ける開発の流行にキャッチアップすること。極小のチームでの働き方。開発の優先順位を他人に理解してもらう説得の手法。技術的な面でも多くのことを身につけたが、それよりも広い視野で、コードを書く以外の力で物事を前進させることの重要さを体感した。

 いまでも、MUAで得たものが自分の核の近くにあると感じている。

アメリカでの転職活動

 2019年の1月になってから転職活動を始めた。

 知人がFacebookGoogleなど大手企業で働いていたのでリファラルをお願いした。ところが大学院を修了したのが前年の5月だったので、GoogleFacebookからは新卒扱いになるという返事をもらった。大手企業の新卒枠はほぼインターンから採用するのでそこに外部から潜り込むのはかなり難しい。

 中規模の企業やスタートアップの面接もいくつか受けた。 Triplebyte を使って応募したところ五つの会社から電話をもらえた。そのうち面接まで進めたのは一つだけだった。そこはBtoBのスタートアップで、ニューヨークシティにオフィスを構えているところだ。ところが面接の直前になってキャンセルになった。募集したポジションを採用できたのでもう面接はやらないとのことだった。

 Amazonに勤めている知人からのリファラル経由でAmazon.com Services LLCに応募したところ、リクルーターから面接をしようという連絡があった。電話面接を二回行ったあと、East Palo Altoのオフィスでオンサイト面接をこなした。一週間もしないうちにオファーの電話とEメールが届いた。オンサイト面接ではしどろもどろの受け答えだったし最適解を言えたとも思えないのにどうしてオファーをもらえたのかわからないが、ともあれこうしてAmazonに潜り込むことはできた。

Amazon で働きはじめてから

 すでにCOVID-19がアメリカでかなり広まっていたので、Day 1から今日までずっと家で働いている。オフィスにはオンサイト面接で一度行ったきりだ。

 とりあえずまだ解雇はされていない。一番不安だった英語もなんとかなった。ミーティングに参加して発言するし、自分が開発した機能をデモするようにもなっている。

FAQ

 質問されそうなことをあらかじめここに書いておく。

Q: Amazonのソフトウェアエンジニアの給料っていいんでしょ?

A: Levels.fyi を見たらだいたい書いてある。 とりあえず新卒一年目でも年1600万円くらいはもらえるらしいガファ。ちなみにMountain Viewを含むシリコンバレー周辺はアメリカのなかでも給与が高い。

Q: どうやって英語を勉強したの?

A: アメリカ留学前に頑張った。詳細はここに書いた。 TOEFL 100点を取る学習法、費用、勉強期間、スコアの変遷 アメリカに来てからどう勉強したかはまたブログに書くかも。

Q: アメリカって物価が高いんでしょ?

A: シリコンバレーの家賃は高い(1bdで月$2500とか普通)。ほかは日本とそんなに変わらない。

Q: シリコンバレーってどんなところ?

A: 不動産がやたら高い田舎。夏になるとたまに空が黄色くなる。

Q: アメリカの大学院ってどんな感じ?

A: このへんに書いた

Q: アメリカでの就職活動は大変だった?

A: めちゃ大変。英語でコーディング面接をやるのはとても疲れる。そのうちブログに書こうと思う

Q: アメリカで働くためのビザってどうなってるの?

A: H-1Bビザを持っている。大学院修了直後はF-1ビザのまま就労できるOPTで働き始めた。Amazonに転職後、会社からのサポートを受けてH-1Bに申請。くじに当選してH-1Bビザを取得できた。

終わりに

 自分の名前で取ったドメインでもブログを始めたのでよかったら見ていってほしい。=> https://www.ryokato.com/

 はてなブログで書いたことよりも情緒的なこと、たとえばアメリカの大学院生として就職活動をしていた頃の思い出などを書いている。

 はてなブログとどう使い分けるかは考え中だけど英語学習とかソフトウェアエンジニアのコーディング面接についてなどを https://www.ryokato.com/ で書くつもりでいる。

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シリコンバレー始まりの地、Palo Alto

加藤龍(かとうりょう、かとりょー、katryo)

お題「#この1年の変化

南カリフォルニア大学の大学寮に住んでいたこと

アメリカの大学寮について書く。

僕は USC(University of Southern California) こと南カリフォルニア大学に2017年8月に入学し、大学寮に住み始めた。

9ヶ月そこで暮らしたあと、2018年5月に寮を出た。

寮の概要

僕が住んだのは Troy Hall という寮だ。

大学公式の USC Housing の寮のうちのひとつで、百人以上がここに暮らしている。

Troy Hall は以下の学科の Graduate Housing Programs というのに指定されている。

  • School of Cinematic Arts
  • Sol Price School of Public Policy
  • Thornton School of Music
  • Viterbi Engineering
  • Dornsife College of Letters Arts & Sciences

ここには様々な専門分野の学生が住んでいた。たまにヴァイオリンの音色が聞こえることがあった。ちなみに防音設備はない。

自分は9ヶ月の契約 (Academic year)をしていたが、12ヶ月 (Full year) の契約もできる。

寮の部屋

大学寮の家賃は、個室が一番高くて、リビングルームとキッチン共有だとちょっと安く、バスルーム共有だとさらに安く、ベッドルーム共有だとかなり安くなる。ちなみに寮だからといって別に普通のアパートよりも安いわけではない。

個室は月 $1300 以上。キッチン共有でも月 $1000 以上はする。僕はキッチン共有くらいがよかったのだが、結局ベッドルーム共有の部屋に割り当てられた。

部屋の割り当ては抽選で決まる。申込みが早いほうが希望する部屋に割り当てられやすい。自分は、入学を決めた2月ごろに寮に申し込んだ。第一志望から第五志望まで、キッチン共有の部屋を希望したはずなのだが、ベッドルーム共有の部屋になってしまったのだ。

僕が割り当てられたのは5人部屋だ。そのうち2人でベッドルーム・バスルームを共有していた。残りの3人は3人でベッドルームとバスルームを共有することになる。なので、正確にいうと3人部屋と2人部屋で、5人でリビングルームとキッチンを共有していた。

  • 2人でベッドルーム共有 $720/Month
  • 3人でベッドルーム共有 $485/Month

ロサンゼルスのアパートとしては相当に安い家賃だ。

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ただ、二人部屋はともかく三人部屋はきついと思う。

ベッドルームの天井には電灯がない。ライトスタンドとデスクランプと、あとは窓から入る光のみで暮らすことになる。ちなみにアメリカの電球は暗いものが多い。おそらくは目の色が薄く、室内が暗くても問題ないと感じる人がほとんどなのだと思う。

加えて、窓の位置が悪く、光があまり差し込んでこなかった。そのせいで昼間でも暗かった。監獄のようだった。

寮の人

5人の寮生、全員がアジア出身だった。

なお、別に留学生専用の寮ではない。

専門は、コンピュータサイエンスが二人、電子工学が一人、土木工学が一人。公共政策が一人。

各人の起きる時間・寝る時間はかなり違っていた。僕はだいたい朝の7時くらいに起きて夜の10時に寝る生活をしていたが、ルームメイトたちのなかには深夜に寝て12時に起きる人がいたりした。

食事はそれぞれが別々に作って食べていた。僕はほぼ冷凍食品を食べていた。寮から徒歩3分の場所に Trader Joe's というスーパーマーケットがある。そこで買った冷凍食品を電子レンジで温めて食べるのが、普段の僕の昼と夕食だった。

寮の設備

ランドリー

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各階に二箇所くらいある。

洗濯が $1.5 、乾燥が $1 。デビットカードかクレジットカードをスワイプして支払う。支払いのネットワーク環境が悪いせいか、たまに使えなくなっていた。そういうときは、僕は別のランドリーに行っていた。

中庭

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Troy Hall には大きな中庭がある。バーベキューパーティーが開ける設備もある。実際にたまに使われており、入寮直後の歓迎パーティーはここでのバーベキューだった。

カウチにはクッションが置いてある。雨が降ったあとは当然濡れるのだけども撥水加工がしてあるのだと思う。

Study room

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Troy Hall には Study room というものがある。

たまーに音楽をかけながら勉強する人や、グループワークのディスカッションをしている人がいた。

カスタマーサービスセンター

通称CSCAmazonで購入したものはそこで受け取る。寮生だと安く使えるプリンターも置いてある。

ミーティングルーム

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ヨガ、映画鑑賞などの寮生向けイベントがたまに行われていた。犬と遊ぶ会なんていうのもあった。

共同生活で困ったこと

睡眠

相部屋での生活を始めて、自分は睡眠を重視する気質だということに気づいてしまった。

相部屋でも睡眠の質を保つために、僕はテンピュールアイマスクを毎日目にかけて眠っていた。ちゃんとしたアイマスクは共同生活に必須だと思う。

また使い捨ての耳栓も毎日使っていた。可能な限り外からの刺激を減らして眠れるよう、できる限りの工夫をしていた。

キッチン

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部屋のルールとして、使ったあとの食器は自分で洗うように決めたのだが、食器を洗わない人がいた。何度言っても洗わないのでもう諦めた。


エアコン

リビングルームとベッドルーム両方の温度をまとめて管理するエアコンがあった。これが悩みの種だった。

人によって快適な温度は違う。気温24度でも暖房をつける人もいる。

暖房が暑すぎて夜中に起きたことが何度もあった。

トイレ

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僕はルームメイトに、洋式便器でおしっこするときは座っておしっこするようにお願いしていた。彼のおかげで、トイレの環境はきれいに保てていた。

ちなみに、バスルームには浴槽があるが、栓がついていなかった。なので、自分で栓を買ってとりつけないとお湯を貯められなかった。

そういえば

僕がいなくなったあと、二人部屋に新たに入ってくる人はいないようだった。なので、僕とベッドルームを共有していたルームメイトは二人部屋を一人で独占していることになる。うらやましい。


寮を出て

最初に書いたように、2018年の5月から僕は寮を出て、 Sawtelle にあるアパートメントに住んでいる。ここもルームシェアではあるのだが、僕は自分だけのベッドルームを専有している。

ちなみにこの物件は Craigslist の sublets & temporary カテゴリーで探したものだ。

ベッドルーム専有の部屋に移れてよかったと心から思っている。

南カリフォルニア大学(USC)2018年春学期と夏学期の状況

5月16日、大学の春学期が終了した。

USC(University of Southern California) こと南カリフォルニア大学に入学してから、学位留学の半分近くを終えたことになる。

この機会に、最近の出来事や現況をここにお伝えしたい。

今年の夏になにをするか

2018年の夏(5月〜8月)はインターンシップと夏学期の授業を取ることにした。

すでに5月16日から Pinscreen社 にてインターンシップを始めている。 Pinscreen は USC の助教授の Hao Li が立ち上げたスタートアップで、スマートフォン向けのコンピュータグラフィックスが主なプロダクトだ。

また、インターンシップと同時に CSCI 567 Machine Learning の授業を取っている。ロサンゼルスの会社なので、ロサンゼルスにある大学に通うことが時間的に可能なのだ。といっても週に40時間働いて授業に出席して予習と復習をするのはかなり忙しい。

どうしてわざわざ大変なことをしているかというと、卒業に必要な単位を可能な限り早く取っておきたかったからだ。

ちなみにもしCSCI 567の単位が取れれば、あとは 2018年の秋学期に2つ、2019年の春学期に2つ、授業を取るだけで卒業できる。一学期に3つ授業を取るのはしんどいだろうなーと思っていたので、この夏に授業を取れたのはありがたかった。

Web Technologies コース履修義務免除の嘆願

僕がいる Scientists and Engineers Program では、 CSCI 571 Web Technologies の授業が必修になっている。

だた自分は三年間プロのソフトウェアエンジニアとして働き、特にWebアプリケーションに関しては専門だったので、わざわざ高い授業料を払ってまでして、すでに知っていることを学びたくはなかった。すでにその授業を取った友人からの話とシラバスによると、PHPでWeb サーバーを建ててAngularでフロントエンドを作ったりiOS/Androidアプリを作る授業らしい。それもう飽きたやつや。

そこで、嘆願書(Petition)を書いて、CSCI 571 を取らなくても別の授業でそのかわりにしてください、と大学にお願いしたのだが、嘆願書を提出して一日で却下の返事が来た。

文法チェックや構成を練るのに二日かけた嘆願書なのに、まったく報われなかったのだ。いくらなんでも却下までの時間が短すぎるので、これはもう原則として無理ということだと思う。

春学期の振り返り

CSCI 402 Operating Systems

http://merlot.usc.edu/cs402-s18/

Grade: A

Weenix というUnix-likeなOSをCで実装して、プロセスやスレッド、割り込み、ファイルシステムの仕組みを勉強する授業。 Operating Systems In Depth: Design and Programming という教科書をもとにしている。

USC のCS大学院生向けの講義のなかでもきついことで有名。ただ、まじめに勉強すればよい成績を取ることはそれほど難しくなかった。プロジェクトの量にひるまずに向き合い続ければなんとかなる。別に徹夜したりしなくても大丈夫。

なのだが、もしかしたら自分が幸運だっただけなのかもしれない。というのも、チームメイトがとても優秀だったのだ。複雑なロジックを短時間で実装したり、原因の箇所がわかりにくいメモリコラプションのバグを発見したり、とにかく問題解決ができるメンバーが揃っていた。

もしかしたら、ほかの学生からすれば、頑張ってもプロジェクトを終わらせられない、つらい授業だったのかもしれない。

この授業、情報交換用に Google Groups が教授から提供されていて、誰かの質問に対して適切な答えを投稿すると得点になるという仕組みになっている。投稿者の名前がわかるので、誰がどの程度授業の内容を理解しているのか投稿から推測できた。

その Google Groups によく優れた答えを投稿していた人がいた。この人がいるチームは安心できるだろうなと傍目で思っていたのだが、あとで、そのチームがプロジェクトのOSを最後まで実装できなかったことがわかった。

プロジェクトの後半に入ると、作業のほとんどがデバッグになってくる。チームに適切なデバッグができる人がいる、いないで差が大きくつくので、最終局面が乗り切れなかったのだと思う。 Google Groups の投稿からも、デバッグに苦しんでいる様子が伝わってきていた。

CSCI 561 Introduction to Artificial Intelligence

https://www.isi.edu/robots/CS561/general.html

Grade: A-

大学の講義としての人工知能を学ぶ。 Artificial Intelligence: A Modern Approach を教科書に使う。

内容は特に変わったところはなく、教科書の内容のうち重要な点をスライドで説明する形式。一学期に3つの宿題が出されて、その結果が成績全体の25%に換算される。宿題は Python競技プログラミングのマラソンマッチのような問題を解く。50個のテストケースが用意されており、テストケースをパスした数で成績が決まる。

最終試験のあとに成績分布が公開されたので計算したところ、自分は平均点くらいだった。宿題とテストの凡ミスがなければAは取れたと思うと悔しい。

コーディング面接の練習

https://www.pramp.com

最近は Pramp でコーディング面接を練習している。これについてはあとで詳しく書きたい。

寮からルームシェアのアパートに引っ越した

Troy Hall という USC Housing の学生寮の契約が終わったので、Pinscreen社に近い West Los angeles にあるアパートに引っ越した。 Craigslist でルームシェアを探していたら見つけた物件で、家賃が月 $1,095 とお安い。

寮についてもあとで別に詳しく書くつもり。

南カリフォルニア大学の Fall 2017 セメスターで何を学んだか

USC(University of Southern California) こと南カリフォルニア大学に入学して5ヶ月が過ぎた。現在、ふたつめのセメスター、 Spring 2018 が始まったところだ。

最初のセメスター、 Fall 2017 でどんな授業を取り何を学んだかについて簡単にまとめたい。

CSCI 455X

http://www-scf.usc.edu/~csci455/

初心者向けプログラミングのクラス。JavaC++を題材に、データ構造や再帰、計算量について学ぶ。

ほとんどコードを書いたことがない人でもついていけるような難易度になっている。つまりは初心者向け。大抵の人はAが取れたと思う。

Grade: A

CSCI 570

http://www-bcf.usc.edu/~adamchik/570/index.html

アルゴリズムのクラス。 Algorithm Design を教科書にして、その七割くらいまでを学んだ。具体的には、競技プログラミングに頻出の動的計画法、最大流問題についてわかるようになった。

成績は完全にテストでのみつけられる。上位20%にA、上位30%以上でA-が与えられる。

Grade: A-

Aが取れなかったのが悔しい。

ちなみに毎週宿題が出るが、それは成績に関係ない。提出するとグレーダーが採点してくれ、フィードバックをもらえることになっていたはずだが、セメスターの半ば頃からフィードバックがなくなった。

ENGR 595A

https://classes.usc.edu/term-20173/course/engr-595a/

英語でのメールの書き方、メモランダムの作り方、プレゼンテーションのやり方について学んだ。

単位にはならないが、CPTを行うのに履修必須。CPTとは留学生に認められたインターンシップの認可制度のこと。 https://ois.usc.edu/employment/employment-f1/cpt/

CSCI 599 Directed Research

大学教授の指導のもと、一セメスターでできるくらいの分量の研究を行う。

これで1単位分を取った。

まとめ

以上、合計で9単位が揃った。

https://viterbigradadmission.usc.edu/programs/masters/msprograms/computer-science/ms-cs-scientists-engineers/ このページにある通り、卒業には37単位が必要。今後、春と秋に8単位ずつ、夏に4単位を取って、2019年の5月に卒業する予定だ。

DeNA という会社を退職してアメリカの大学院に進学していました

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そういえば退職エントリ書いてなかったので書きました。

DeNA には2014年4月に新卒入社して、2017年8月まで在籍していました。Webアプリケーションを作ったりSWETという組織で自動化とかテストとかやってました。SWETは http://swet.dena.com/ にブログがあるのでどういう組織かはそっち読むとだいたいわかります。

で、会社を辞めて、2017年の8月から南カリフォルニア大学 (University of Southern California, USC) の修士課程、コンピュータサイエンスの学科に進学しています。

アメリカ大学院への出願手続き、TOEFLの対策、勉強法などはこっちで。 http://katryo.hatenablog.com/entry/2017/09/02/150000

最初のセメスターは無事に終えられました。アルゴリズムの授業プログラミングの授業を取ってました。ちなみに両方とも必修。競技プログラミングで使うようなアルゴリズムを学ぶことができました。せっかくなので競技プログラミング始めました。来年春セメスターはOSと人工知能機械学習じゃなくて、知識表現とかの、大学の授業の名前としての人工知能)の授業を取ります。

やっていくぞ!!