タスク検索とエンテイルメント
僕はいま「タスク検索」というものを研究している。遂行したいタスクを入力すると、それを遂行するためになにをすればいいか出力してくれる検索だ。タスクの定義とか出力の形式とか細かな部分は説明しないが、おおまかに言ってそれだけのものだ。
たとえば「部屋の掃除をしたい」と入力すると「Panasonicのサイクロン掃除機を使う」「やる気の出る音楽をかける」みたいなタスクが出てくる。
この研究において重要なことは以下のふたつだ。
- 手法
- 評価
このふたつをなんとかすればいい。
手法と評価、どちらに手をつけるにしても、検索に使うことばとWebページに使うことば、行動とことばの関係、行動と別の行動の関係に着目すべきだと思う。
まず、エンテイルメントという関係を考えてみよう。
行動のエンテイルメント
犬を育てようとある人が思ったとする。いや、ある人じゃなくて僕だ。僕は「犬 育てる」で検索をしてみた。
犬を育てる費用は?というyahoo知恵袋ページがヒットした。
こうした検索で、このページを読むという行為。よく考えると複数の意味が重なっていることに気づく。
僕はこのページを読むことで、「犬を育てる費用を調べる」というタスクを発見し、「年3万円」という答えを知り、タスクを遂行したことになる。ページに目を通した瞬間、発見と遂行を瞬時にこなしたのだ。
このように「調べる」や「知る」というタスクの場合、検索結果ページ閲覧で、タスク発見から遂行までを行えてしまう。そして「質問する」「試す」といったタスクは結局「知る」に変換できる。これは「質問する」が「知る」をエンテイルメントしているからだ。
まとめると、エンテイルメントによって「知る」に変換できる行動の場合、Webページの表示だけでタスクを遂行できてしまう……ことがある。このような「知る」に変換できることばをリストアップしてみよう。
知る に変換できることば
- 学ぶ
- 調べる
- 訊ねる
- 聞く
- 質問する
- 試す
- 試みる
- 見る
- 検索する
- 触れる
当然、最終的に「知る」をエンテイルメントしているクエリの場合でも、「知る」でクエリ拡張をすべきとは限らない。「京都市 非課税証明書 調べる」は「京都市役所 非課税証明書 知る」よりも非課税証明書を調べる目的に合致した結果を出す。「京都市 非課税証明書」のほうがさらによい。
調べる について
「調べる」は「知る」をエンテイルメントしている。Webで検索する段階ですでに「調べる」というタスクをあらかじめ発見し、遂行しかけていることを意味する。
「犬を育てたい」という意志でWeb検索をするとき、ユーザーの脳内では「犬を育てることについて調べる」というタスクを発見し、遂行している。
やりたいことがある
↓
やりたいことについてWebで調べる、というタスクを発見
↓
Webで検索
こういう経緯で検索をしている。