風立ちぬオブリビオン危機一発(感想)
最近観た映画の感想です。
風立ちぬ
オタクのオタクによるそれでもぎりぎりみんなのための映画。
主人公の堀越二郎が、オタク、というか宮崎駿本人を投影しまくっている。煙草吸ってばっかりで、社会の「空気」に飲み込まれず自分が愛する飛行機設計にのめりこむ。まわりの人は二郎の技術に敬意を払い、夢の実現に力を貸す。これって理想のオタクの夢じゃん。
オタクの理想が詰まっているといえばヒロインもそうで、関東大震災のときに助けた少女と大人になって再会して仲良くなって結婚するとか、ギャルゲか。宮崎駿がとうとうSNEGの境地に至ったと思うと感慨深い。
面白かったです。
オブリビオン
レトロな時代の近未来。
洗練された白い部屋、ひとめで機械とわかる球体のドローン、空に浮かぶ巨大採掘施設、地下に追いやられた砂にまみれた人類。20世紀の人たちが描いた近未来のビジョンを現在のCG力で再現したような映像が2時間ずっと続く。新しくはないけどストレスなく楽しく見てられるのでそんなにけなそうとは思わない。でもストーリーがありがちというか、「こういうマンガ読んだことあるなー手塚治虫かなー」という気持ちで見続けることになる。「この映画はひと味違うんだぜ!」というフックが必要だったな。
主演がトム・クルーズ。All You Need is KillことEdge of Tomorrowの主演もトム・クルーズ。ハリウッド版雪風もトム・クルーズ。近未来宇宙人との戦争SFはみんなトム・クルーズかよ! と暗澹たる気持ちになってしまった。もう50過ぎのおっちゃんにSFアクションさせるのはつらいんじゃないの……。
日本のフィクションは主人公がティーネイジャーばかりだと言われるけど、ハリウッド映画はおっさんばっかりじゃないすか。青さが大切な物語だってあるんだよ! All You Need is Killの原作とかまさにそうだよ!
映画の企画を立てるときは、超有名な監督か俳優か原作で釣らないと観客が来ないのかな。パシフィック・リムも興行成績悪いみたいだし、観客にとって既知のものを入れないと観てもらえないの、悲しくなる。
楽しかったです。
ドラゴン危機一発
安いブルース・リー。
色黒の人多いなーと思ったらタイで撮影したらしい。チープな暴力描写がみどころ。ナイフドスッとかマネキン氷漬け死体とか安っぽくてどぎつい演出たっぷり。
悪役グループの言動がアホすぎかつぬるすぎて、こいつらほんとに悪事を働く気があるのかなと不安になった。
さあお待ちどおさま、ブルース・リーのアクションタイムだぜ! というワクテカな瞬間に毎回流れるオルゴールの優しい音色。ヒスイのネックレスに手を置き思いとどまるブルース。なんだこの茶番。
ブルースさんのアクションはかっこよかった。傷口の血をペロッとかすごい速さの跳び蹴りとか。あーなるほどこれがブルース・リーなんですねーはいはい、と投げやりな気持ちで落ち着いて鑑賞できる。
ストーリーがひどくて仲間皆殺しでブルースさん救われないけど、無駄に設定を積み上げて矛盾して観客が頭を悩ませる映画よりはましかなーと思った。
大学生が学園祭に上映する映画みたいで楽しかったです。