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カリフォルニア州マウンテンビュー在住のソフトウェアエンジニアがいろいろ書きます。

「USJのコースターはジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」感想

USJのコースターはジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」を読んだ(どうでもいいことだけど、業績悪化した遊園地を立て直す話なので甘城ブリリアントパークを思い出して脳内でAKINOの歌声が流れ続けていた)。

新書でおなじみの「なぜ」タイトルでウッと身構えてしまうが、内容はだいぶよかった。実例を、しかも実際にうまくいったケースを見せてくれるので、机上の空論かもという不安なしに読み進んでいける。

本の内容

簡単にまとめる。

USJで実現したアイディアの、作成の中心にあるのがイノベーションフレームワークだ。ドヤ感ある命名だけど、著者がそう書いてるので受け入れよう。

イノベーションフレームワークとは

イノベーションフレームワークは四つの柱で成り立っている。

  1. フレームワーク
  2. リアプライ
  3. ストック
  4. コミットメント

1のフレームワークが核にあると考えていい。フレームワークのなかにフレームワークがあるのは気持ち悪いけど受け入れよう。

アイディアを練る際に重要なのは、以下の二つをしっかり考えて決めることだ。

  • どんな条件を満たしているべきかを決める
  • どこに着眼点をおくかを決める

これはTDD(テスト駆動開発)のようなものだ。マーケターは、まずspecを考えねばならない。最終的な目的を達成するために、成り立たねばならない条件(spec)を定める。

着眼点を決めるのは、必要条件を決めてからだ。条件をきちんと定め、的を射たものと確信できていないと、アイディアを練るときに見当違いの領域に立ち入ってしまい、無駄に時間を費やしかねない。

条件と着眼点を決める際の手法には複数あるが、戦略的フレームワークが最も汎用的に使える。

戦略的フレームワークとは

まず、何を目的にして、どんな条件を満たせばよいかをはっきりさせる。で、その条件を満たすためにどんな戦略をとるかを決める。そして、その戦略で進めたとき、必要な条件を満たすための戦術を考える。

目的のspec => 戦略のspec => 具体的なアイディアと、トップダウンにspecを考える。

このように、段階的にブレイクダウンしていくことで、何をすべきかを決めていく。

あとはすごい頑張れば勝つ確率が高められる。

「すごい頑張る」の部分についても本書では書かれているがそのへんは省略する。

感想

フレームワークを使っても、あくまで確率が高められるだけで、確実に勝てるわけではない」と率直に告げている点に好印象を抱いた。


エンジニア的に問題に取り組むと、どう解決するかにいきなりフォーカスしてしまいがちだ。最初の目的設定と、specへの落とし込みが、特に怠りやすい点だと思う。細部にフォーカスして行動する際に迷いを持たないためにも、満たすべき必要条件をきちんと決められるようにしたい。